BEHIND THE SCENES 7
2018 AUTUMN & WINTER COLLECTION



YASUO YOSHIKAWA
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HIROYUKI MATSUURA


ビューティとアートのケミストリーから生まれる、“新しいピンク”
 
 



ブランド10周年の記念すべき秋冬に、
現代アーティストの松浦浩之氏とコラボレーションするCHICCA。
異なるクリエーションとの化学反応から生まれる、新たな美の可能性とは?
ブランドクリエイターの吉川康雄氏とともに、「PINK」コレクションへの想いを聞いた。




——今回お二人がコラボレーションされることになったきっかけは何でしょうか?

吉川
ファッションブランドとのコラボはずっとやってきたけれど、今の時代を象徴する新しいジャンルと出会ったらまた未知の扉が開ける気がして。そんなときパッと目にとまったのが日本発祥のポップアート、松浦さんの作品でした。

松浦
僕自身はビューティについて詳しくなかったし、お話を頂いて最初はすごく驚きましたね。でもいざ始まってみたら吉川さんとはクリエイターとして通じる部分がたくさんあって、根底は同じなんだなと。

吉川
実は以前からアニメアートの本や写真はたくさん持っていて、メイクアップの参考にしていたんです。肌の上と違って真っ白なキャンバスに描かれている絵は、色のもたらすムードや色同士の関係性がわかりやすくてすごく勉強になる。そして何より、海外では立派な“アート”として受け入れられている日本のアニメを、どうにかクリエーションに活かせないかという想いがあって。

松浦
当時はチラシのように扱われていたという浮世絵も、海外で評価されて日本を代表するカルチャーになったくらいですから。数十年後にはアニメも同じようになるだろうという想いもありつつ、今の日本ではどうしても子供や一部のオタク向けという価値観が根強くて。だから今回のお話はすごくありがたかったですね。

吉川
アニメはアートとして純粋に素晴らしいし、デフォルメされた絵にキレイになるためのヒントもたくさん詰まっていると思う。以前1本だけ長く描かれたフィギュアのまつ毛を真似てモデルのBjörk(ビョーク)にメイクをしたら、すごく気に入られたこともあった。メイクもアートもファッションもライフスタイルも、すべては繋がっているから。本当に美しいものを先入観なく目にして、自分だけの美意識を育んでほしい。

松浦
ロゴの相談を受けた時も内心かなり驚いていました。今回自分の絵柄をアクリルに閉じ込めてCHICCAの文字をつくらせて頂いたのですが、間髪入れずに吉川さんから「今シーズンのロゴにしていいですか?」と連絡を頂いて。こんな重要なこと、すぐに決めちゃっていいの!? って(笑)。

吉川
当たり前のものってつまらないから、これはちょうどいい“違和感”のあるものができたぞと。その違和感という刺激から、一人でも多くの女性に新しい価値観を見出してもらいたいんですよね。





――その“違和感”は今回の「PINK」コレクションにも活かされている?

吉川
そうですね。ピンクって一般的に「可愛い」の象徴的な色と思われがちですが、本当はもっと様々な表情を持っている。人の体温や生きている暖かさを感じさせる、不偏的な色ですから。松浦さんとの意外性に満ちたコラボレーションを通して、その違った側面に目を向けてほしいというのはありますね。

松浦
それは僕も同感で、現代アートというフィルターを通してピンクの違った一面が見えてくると思うんです。たとえばこのウサギのフィギュア……。

吉川
ピンクと真っ白なウサギって絶対可愛くなりそうなのに、なぜか毒っ気を感じさせるっていうね。でもその“違和感”にたまらなく惹きつけられる。

松浦
クールで無機質。そんなピンクの側面にインスピレーションを得て、女性が新たな自信や可能性を切り拓けたらすごくいいですよね。それは無限の幅を持つ、ピンクだからこそ起こりうることなのかもしれません。

吉川
つまらない思い込みにとらわれず、もっと自由にメイクを楽しむためのヒントになればいいなと。

松浦
その発想がCHICCAですよね。僕は今回のコラボレーションを通して、メイクアップに対する見方が一変しまして。メイクとは決して顔を覆い尽くすものではなく、素肌や自分自身の味わいを活かすものなのだなと。その方が気持ちも表情も、ずっと豊かになりますよね。

吉川
花の都と呼ばれるパリの路地裏さえ簡単に見られてしまう、SNS全盛の時代。「世の中ってキレイなものだけじゃないよね」っていうのがみんなのリアルになっているんじゃないかな。自分の顔だって好きな部分も嫌いな部分も当然あると思うけど、コンプレックスすら受け止めてうまく付き合っている女性はすごく魅力的。その本当の意味で自分を慈しみ、大切にするという考えがCHICCAの揺るぎないスピリットなんです。





――今回のコラボレーションを経て、すべての女性に伝えたいメッセージは?

松浦
メイクアップが外見を磨くものなら、アートは内面を磨くもの。さっき吉川さんもおっしゃっていたとおり、それらは緻密にリンクしています。だからどんどんアートに触れて、二次元的なメイクから三次元、四次元……と、より立体的で深みのある表現を身につけてほしいですね。それが自分の人生を愛するための糧になるんじゃないかな。

吉川
アニメアートに限らず、本当に美しいもの、キレイなものを自分の目で見極められるようになったとき、日々は一段と輝き出す。このコレクションがその後押しになれば嬉しいですね。





吉川康雄
1983年よりメイクアップアーティストとしてのキャリアをスタート。 ファッション誌や広告制作の現場で10年以上活躍した後、1995年に渡米。 現在NYをベースに各国の「VOGUE」誌のカバー撮影や セレブリティのメイクアップなどを幅広く手がける。

松浦浩之
グラフィックデザイナーとして活動後、2004年台北現代美術館での展示を機に現代美術家に転身。現代アート作品の制作をスタートする。「Swatch」のデザインを手がけ、「髙島屋」のキーヴィジュアルを担当するなど、アートが身近に感じられる様なクリエーションも多数。



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